【参加報告】パネルディスカッション『多様な教育機会確保法』の意味と課題を考える

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2015年12月26日(土)
早稲田大学で「第14回子どもの権利条例東京市民フォーラムのつどい~パネルディスカッション『多様な教育機会確保法』の意味と課題を考える~」が開催されました。
(主催:子どもの権利条例東京市民フォーラム)

多様な教育機会確保法についての賛否を超え、この法案の意義と課題を考えるパネルディスカッションとして開催され、パネリストは当会共同代表でもある喜多明人さん、奥地圭子さんの2人、コーディネーターは荒牧重人さん(山梨学院大学/子どもの権利条約総合研究所)、参加人数はおおよそ90名との事でした。

■喜多さんからは以下のような事が語られました。

□この法案には三つの重要な理念(子どもの権利条約の理念に基づくこと、子ども本人の意思を尊重すること、年齢・国籍を問わず学ぶ権利を保障すること)が組み込まれていて、その点においてこの法案を評価していること。

□多様な場を認めていくことが、長期的に見れば学校そのものを安心安全な場にかえていくことにもつながると考えていること。

□また法案そのものへの賛否の議論も大切ではあるが、
・法案は流動的で、これからも変わっていくこと
・これまで培ってきた不登校をめぐる市民(団体)相互の信頼関係維持を優先したいこと
・長期的な展望に立って考えるべきことであり、即自的な判断は早計であること

などの理由から、現時点の法案への賛否ではなく、様々な動きがある中、法案が通った時に現場が混乱しないための対処が重要であること。

□具体的には、民間団体の相互連携のもとにつくる支援機構の創設、行政職員も含めた多様な学びの場に関わる人材育成の仕組みづくりの必要性。

■奥地さんからはこれまでの経緯に加え、以下のような事が語られました。

□今の学校復帰を前提とした施策を続ける教育委員会に申請し、認可を受ける仕組みへの不安があるのは解るが、教育委員会も法律に基づいて動く組織であり、新しい法律ができることによって教育委員会を変えていくこともできること。
(今年から東京都の不登校対策協議会の委員にも選ばれ、国の多様な教育の支援の議論が進むにつれ、東京都の委員会の考え方も柔軟になってくるなど、すでに変化の兆しはある)

□今の法案については自分も不充分な点は感じているが、それでも子どもにとって何が必要かを考えながら、必要なものに向けて一歩でも進めることが大切と考えていること。

■コーディネーターの荒牧さんからは以下の通り。

□喜多さんも触れた「大切な理念」をどう生かすか、個々の条文や法案成立後に検討される基本指針、省令等にどう組み込んでいくかが重要。

□教育委員会や自治体によって格差がでてくることは充分考えられるし、「命」や子どもの「安心、安全」を守る事、「子どもの学習権」に基づいた具体的な規定づくりが必要で、それがない限りどのような法律であっても子どもを縛る危険性はある。だからこそ、それをどのように具体化するかを考えたい。

■会場からの質問、意見の時間も、当初の予想より質問数も多かったとのことで、最後まで一問一答の形式とはなりませんでしたが、以上のような意見の後、最後に喜多さん、奥地さん、荒牧さんのまとめの発言があり、集会は終わりとなりました。

■まとめの発言は、それぞれ以下のような内容でした。
□法案の良し悪しを即断するのではなく、その制度を支える人をどう育てていくのかを考えたい。来年2月6,7日にはそのための実践研究フォーラムも開催します。
□文部科学省のフリースクール等検討会議も期間が延びることになり、その中でも法律の運用については考えていけるので、法律ができてからも本番という考えでやっていきたい。
□懸念の声も大切にして行きたいと思う。
□選択→決定→自己責任、という問題もある。その状況自体を変えていかないと本当に良い社会にはならない。
□子どもの権利を中心に、これからも考えていきたい。

以上。
子どもの権利条例東京市民フォーラムの皆様、ご来場な皆様、貴重な時間をありがとうございました。

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