海外先進事例から学ぶ

オルタナティブスクールが韓国の教育を変える ~民間発の公民連携事例を踏まえて~

韓国社会と日本社会は共通点も多ければ、違いも少なからずある。苛烈な受験競争があること、いじめ、子どもの自殺などは二つの社会が共通する点だ。日本では1980年代半ばに、韓国では1990年代後半にフリースクール、オルタナティブスクールが生まれている。共通する点もあれば、違う点もある。
日本ではフリースクールと、オルタナティブスクールが別種のものとして識別されることが多い。「オルタナティブスクールと違って、フリースクールは不登校の子どもが通うところ」というような言説は日本では珍しくないが、韓国ではそうではない。金敬玉氏が活動しておられるネットワークにはどちらも参加している。また、韓国ではフリースクール、オルタナティブスクールが学びの場として、謂わば市民権を得ており、官民の連携も始まっている。
ソウル市の公立学校が数年前からはじめている「革新学校」は、公立学校にフリースクール・オルタナティブスクールが実践している総合的な学びを取り入れたものだ。さらに今回紹介するオデッセイスクールは、官民の連携としてさらに一歩踏み込んだものだ。

講師:金敬玉(キム・キョンオク)さん(ミンデュルレ代表・元韓国オルタナティブ教育連帯代表)
ミンドゥルレは韓国のオルタナティブ教育関係者の誰もが知っている雑誌だ。この雑誌社に集まってきた子ども達とスタッフが始めたのが空間ミンドゥルレだ。ミンドゥルレは韓国のフリースクールのネットワークをガンディースクールと共にずっと支えてきており、金敬玉氏はその中心にいつもいる。雑誌とフリースクールの実践があり、活動の当事者でもありながら運動を俯瞰的に捉えてもいる他に代わりの無い人物だ。今回報告のあるオデッセイスクールも企画の段階からソウル市と構想を練って来ているメンバーで、金敬玉氏の人的ネットワークと経験の積み重ねがあって現在のオデッセイスクールの形が可能になった側面がある。